鼻中隔弯曲症とは?
鼻の穴を隔てる壁「鼻中隔」は、軟骨と骨でできています。この鼻中隔が左右に歪み、鼻を通る空気の流れが悪くなり鼻症状を起こすのが「鼻中隔弯曲症」です。
鼻中隔が歪んでいること自体は珍しくなく、程度の差こそあれ多くの方に見られます。「鼻中隔弯曲症」という診断名がつくのは、そのことで鼻症状を伴う場合です。また、正面から見て鼻筋が真っ直ぐに見えても、内側だけが歪み、症状を起こすことがあります。
症状が確認されれば、鼻中隔弯曲症の治療を行います。
どうして鼻中隔弯曲症になるの?
鼻中隔は、軟骨と骨(鼻中隔軟骨・篩骨正中板・鋤骨)でできています。身体の成長と共にそれらの軟骨・骨も発達していくのですが、そのスピードが異なるためにバランスが崩れ、鼻中隔の歪みが生じます。そのことで鼻づまりなどの症状が起きていれば、鼻中隔弯曲症となります。
そのため、鼻中隔の歪み、鼻中隔弯曲症に伴う症状は、身体と鼻中隔の成長過程にあるお子様にはほとんど見られません。
鼻中隔弯曲症の主な症状は鼻づまり
鼻中隔弯曲症の主な症状は、鼻中隔が曲がったことにより鼻の通りが悪くなったために起こる「鼻づまり」です。鼻中隔弯曲症には、以下のような症状が見られます。
- 鼻づまり
- においを感じにくい
- 頭痛
- 肩こり
- 注意力が低下した気がする
- 鼻血がよく出る
- 鼻水
鼻中隔弯曲症を診断するための検査は?
患者様の症状やその程度をお伺いする他、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などの病気の有無を検査にて確認し、原因に合わせた治療につなげていきます。
問診・視診
症状の内容や強さを詳しくおききした上で、専用の器具を用いて鼻の中を観察します。耳鼻科を専門とする医師であれば、視診の段階で鼻中隔の弯曲の程度を正確に見極めることができます。
内視鏡検査
内視鏡による鼻の中の検査を行います。粘膜の観察も重要になります。
CT検査
鼻中隔の歪み方は、患者様一人一人で異なります。CT検査で鼻の内側を撮影し、どのように、どの程度曲がっているかを正確に測ります。
またこの検査には、副鼻腔炎などの有無・程度の確認の意味もあり、適切な治療につなげるための重要なポイントです。
アレルギー検査
症状に応じて、アレルギーの有無を確認する検査を行うことがあります。
鼻中隔弯曲症の治療は?
鼻中隔弯曲症の治療では、まず、症状を抑えるための投薬治療を行います。ただし、投薬治療により十分な効果が得られない場合、根本的な改善が必要とされる場合には、手術による治療を行うこともあります。
投薬治療
投薬治療では、患者様の症状に合わせてお薬を使用します。抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬、抗炎症薬、抗生物質などが主だったお薬です。
粘膜の血管収縮作用がある点鼻薬は、鼻づまりに効果的ですが、一方で血管が常に開いていることで慢性肥厚性鼻炎(粘膜が厚くなる鼻炎)、アレルギー性鼻炎などを引き起こす可能性がありますので、当院では十分に注意しながら使用します。
これらと並行して、ネブライザー療法を受けていただくのも、治療の効果を高めます。
鼻中隔弯曲症を根本的に治すには手術が第一選択に
投薬治療で十分な効果が得られない場合、原因そのものにアプローチして根本的治療を目指す場合には、「鼻中隔矯正術」手術による治療を行います。
鼻中隔弯曲症の手術「鼻中隔矯正術」
歪んでしまった鼻中隔の軟骨を切り取り、鼻中隔を真っ直ぐに整える手術です。局所麻酔の上で、鼻の穴付近から器具を挿入して行われます。手術後、鼻中隔軟骨の補強と切開した粘膜の修復を行い、抗菌剤による感染防止の処置が済めばこの治療の終了となります。
※顔や口内からの切開はありません。
※鼻中隔の成長の余地がある18歳以下の方には、この手術は行えません。19歳以上の方が対象です。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が合併している場合も
鼻づまりを伴う鼻中隔弯曲症の方は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎を合併していることがあります。
当院では、検査にてこれら合併症の有無を確認し、それぞれに合わせた治療を同時に、あるいは前後して行い、最終的に患者様のお悩みをしっかりと解消できるよう努めております。