慢性中耳炎には2つのタイプがある
慢性中耳炎は、「感染を原因とした急性中耳炎などをきっかけとして、長期間鼓膜に穴が開いた状態」です。
ただ炎症が長期間続くことではなく、鼓膜に穴が開いている状態が長く続いているのが慢性中耳炎です。
慢性中耳炎は、「単純性慢性中耳炎」「真珠腫性中耳炎」の2つに分類することができます。
慢性中耳炎の症状
- 耳がきこえにくい
- 耳垂れ
- 目まい
- 耳鳴り
- 顔面神経麻痺
なぜ慢性中耳炎や真珠種性中耳炎になるの?
単純性慢性中耳炎
一般的に「慢性中耳炎」と呼ばれるのがこちらです。
急性中耳炎などを原因として鼓膜に穴が開き、それが長く塞がらない状態です。滲出性中耳炎の治療で挿入したチューブを抜き、その穴がなかなか塞がらないときにも単純性慢性中耳炎と診断されます。
真珠腫性中耳炎
鼓膜が部分的に中耳側にへこみ、それが真珠のような塊(真珠腫)を作る耳の病気です。
真珠腫は周囲の骨を侵食します。進行すると、内耳を損傷させて、目まい、難聴、顔面神経麻痺などの症状を起こしたり、頭蓋骨底を破って髄膜炎を起こしたりすることもあります。
ほとんどの真珠腫性中耳炎は、中耳がうまく換気できていないことを原因として発症します。通常、耳管が正常に開閉することで換気が行われますが、その機能が不十分であったり、損なわれてしまったときに発症リスクが高まります。
また、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎による鼻水症状、アデノイドの肥大なども、耳管の機能を妨げ、真珠腫性中耳炎の原因となることがあります。
子どもの頃からの慢性中耳炎でお悩みの方
長年の慢性中耳炎でお悩みの方に多いのが、過去の急性中耳炎で開いた鼓膜の穴が塞がっていないまま今に至ってしまっているケースです。
鼓膜は再生能力が高く、急性中耳炎や鼓膜切開術、鼓膜チューブ挿入術で穴が開いたとしても、しばらくすると自然に塞がります。
ただ、稀にその穴が残ってしまうことがあります。細菌が簡単に侵入してしまいますので、炎症や耳垂れが起こりやすく、また聴力も低下します。さらに放置していると、目まい、耳鳴り、顔面神経麻痺などを起こすこともあります。
長く慢性中耳炎にお悩みの方、またご不安な方は、一度当院にご相談ください。検査により細菌の種類を探り、そこから選択した抗菌薬を適切に投与し、耳垂れなどの症状を解消した上で、手術によって鼓膜の穴を塞ぎます。
このように、鼓膜の穴を塞ぐ前に耳の中をきれいにした上で鼓膜を塞がないと、再発のリスクが高まったり、なかなか治らなかったり、ということになります。
慢性中耳炎の場合に行う治療は?
耳垂れが見られる場合には、抗生物質の服用、点耳薬を使用して治療します。
さらに根本的な解決(鼓膜の穴を塞ぐ)のためには、手術が必要になります。
当院では、日帰りで受けていただける「鼓膜形成術」を行っております。耳垂れの解消、難聴の改善が期待できます。30~40分程度で終わる手術です。鼓膜形成術によって塞げる穴かどうかは、検査によって簡単に分かりますので、お困りの方は一度ご相談ください。